スイングとクラブの重量の関係(後編)

テニスとバトミントンで使用するラケットは、同じような形をしていますが、ラケット自体の重量はかなり違います。

シャトルは軽いですが、シャトルに比べればボールの方が、かなり重量はあります。

重いものを打つテニスのラケットのほうが、重くなるのは当然です。

バトミントンのラケットは、手首のスナップだけで打つことが出来ますが、テニスのラケットは、よほどの怪力の持ち主でない限り、手首のスナップだけで打つことは出来ないでしょう。

それとは逆に、バトミントンのラケットを、足腰を使って全身で振れるでしょうか?

全身を使うには、ラケットが軽すぎるはずです(ただし、スマッシュを打つのは全身運動です)。

クラブの重量によって変わるスイング

道具と人間の体重に相関関係があり、体重に比べてかなり軽い道具は、腕だけで処理した方がバランスが取りやすいことがあります。

たとえばドライバーを例にとって見ると、今市販されているドライバーの中で一番軽いものは、総重量が250g前後でしょう。

また、シャフトをスチールにすれば、総重量は370gぐらいになります。

重いほうのクラブから見ると、軽いクラブの方は30%以上も軽くなっています。

この2種類のドライバーを使って練習すれば、スウィングは変わってきます。

軽いドライバーを使って練習すると、腕に頼ったスウィングになりやすく、重いドライバーを使って練習すれば、下半身を積極的に使ったスウィングになりやすいでしょう。

軽いドライバーに変えて、「最初はよく飛んでいたのに、最近はあまり飛ばない」という話を、時々耳にしますけど、クラブ自体に変化はないわけですから、自分自身が変わったといえます。

どんどん軽いクラブに変えるということは、どんどん手打ちのスウィングになっていくと、同義語と言っていいかもしれません。

器用な腕を「使わない」矛盾

人間の腕の役割は、体の中心部分(体幹)で生まれた力を伝達する道具としての機能を持っています。

ですから、腕を振ってスウィングすることは、体の中心で生まれた大きな力を、逆流させて、大きなパワーをクラブヘッドに伝えることは出来ません。

軽いクラブを使って、腕に頼ったスウィングになると、どんどん飛距離の低下を招きます。

また、クラブ重量を重くすることにより、方向性の向上が期待できます。

私のところにこられる60歳代のお客さんで、軽いカーボンシャフトから軽量スチールシャフトに変えて、方向性がかなり良くなり、飛距離も以前とまったく変わらないと言ってました。

「重さ」という制約が、手の動きを少なくすることにより、方向性が良くなったのでしょう。

最後に、体の小さい人がロングドライブを打てないことは、決してありません。

田中秀道プロは、166cm、60kg弱の体で、素晴らしいロングドライブ放ちます。

肩、腕を柔らかく使い、体の中心部分で生まれた大きな力を、クラブヘッドに伝えれば、ロングドライブは打てます。

ただ、この技術をマスターするのが難しいのは、人間の体で一番動きやすい部分である「手」でクラブを持っていることです。

今年、メジャーの記録を塗り替えたイチロー選手でも、作シーズンの後半、両腕から力が抜けなくなり、大きく打率を下げました。

あれだけの選手でも、腕から力が抜けなくなることがあるのですから。

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