スイング(打ち方)にマニュアルはない

 プロ、アマを問わず、良いゴルフをしていた人が、気がついたら、随分スコアが悪くなっている、という事に出くわすことがあると思います。アマチュアの場合は、しばらくゴルフができていなかった、などの理由で、調子を落とすことはありますので、そんなに珍しいことではなく、またそのことに気がつくことも少ないかもしれません。しかし、トーナメントに出ているプロゴルファーになると、ある程度上位にいる人なら、統計にその人のスコアなどが出ていますので、去年と比べることができ、そういえば最近テレビ中継で、姿を見ないのはそういう事か、と気づくことがあります。スタッツ(統計)をネットなどで探せば、なるほどテレビに映るポジションにいないことが分かります。

 スイング(打ち方)は、100人いれば100通りの形があると私は考えます。何十年も前に、その当時のトッププロの何人か(または結構多く)が、「自分なりの打ち方を見つけなくてはいけない」、そのようなことを口にしていたので、自分の中では、その意見を100%否定することは出来なく、なんとなく受け入れていたように思います。ただその時に、どのようにしたら自分なりの打ち方を見つけることができるのか、皆目見当がつきませんでしたし、こうすればいいのではないかというものを、うっすらと頭に描けるようになったのは、この10年ぐらいではないかと思います。

 その時のヒントになったのは、友人の整形外科医と話していた時、骨格の個人差は、結構あるという事でした。腕の骨がまっすぐな人もいれば、少し曲がっている人もいる。骨と骨が繋がっている関節も、個人差は結構あるそうです。関節の形は、その繋がっている、腕や足などの動きに制約を加えることは、それ程想像に難くないと思います。可動域の制限が、その人が無理なく動ける範囲が決まってくるので、AさんとBさんの自然な動き(スイング)は微妙に違って当然です。

 このような話をすると、どうやって自分に合った打ち方を見つけるのか、と質問が来るのでしょうが、一つの実例としては、10代のジュニアゴルファーがゴルフを始めるとき、最初にグリップとボールの位置ぐらい教えて、あとは自由にボールを打たせる、このジュニアはボールが飛んでいくのが面白く、夢中になってボールを打ち続ける、こうやって自分にとって自然な動きを身に着けるのです。ゴルフを始めて1年ぐらいでパープレーでラウンドする子はたくさんいますが、自分に合ったスイングを身に着けたので、良いスコアが出たのです。

 では、大人は自分に合ってスイングは身につかないかと言えば、決してそんなことはありません。「ゴルフを始めた時が、一番ボールが飛んだ」という話を聞いたことのある人は結構いるのではないでしょうか?おそらく、ゴルフを始めたばかりのころは、スイングの事は考えないで、ボールを打つことだけに集中していたはずです。ゴルフをやっていくうちに、周りから「こうやって打った方がいい」などと打ち方に関する話が、どんどん耳に入ってきます。こうやって肩を回した方が良い、クラブヘッドの軌道はこうした方が良い、などスイングに関する情報(ほとんどが役に立たないもの)を受け入れて、そして「不自然な打ち方」をだんだんと身に着けていくのです。

 「不自然な打ち方」に気付き、それを「自然な打ち方に」変えていく方法として、私が今唯一思っているのが「素振り」です。これは決して簡単ではないし、物凄く忍耐力がいる練習方法です。体を柔らかく使って素振りをするうちに、何か不自然な「動き」をしているのではないかと、気づく時が来るかもしれません。それが訪れるまで、繰り返すことは簡単ではないです。もし、ほかに良い方法があれば、ぜひとも教えていただきたいです。

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