スイングとクラブの重量の関係(前編)

クラブの重量が、スウィングに与える影響を考えてみましょう。

皆さんのゴルフ仲間の中に、野球やソフトボールの経験者で、ロングヒッターがいると思います。

中には、それほど大きな体格の持ち主ではないのに、かなりの飛ばし屋がいると思いますが、なぜ、小さな体でボールを遠くに飛ばせるのでしょうか。

基本的に、小さな体で大きな「力」を発揮することは難しいのです。

人間の体は、筋肉の収縮によって動かされますが、筋肉から生みださえる「力」は、筋肉の断面積に概ね比例しているので、体の小さい(または体重の少ない)人の筋肉量は多くありません。

しかし、小さな体で遠くに飛ばす人もいれば、大きな体でもあまり飛ばない人もいるので、どうしてそうなるかを説明します。

もう一つの視点

最初に、スポーツ科学で使われる「運動量」の意味を書いておきます。

運動量 = 重さ × スピード

金槌で釘を打った経験は、殆どの方があるでしょう。

しかし、どうして金槌が釘に当たる瞬間に、腕を止めるのでしょうか?

金槌を振り下ろすと、腕にも、金槌にも運動量が発生していますが、金槌が釘に当たる瞬間に腕を止めると、腕に生じていた運動量が、まだ運動を続けている金槌のほうに移行するので、金槌のスピードが増加し、釘がしっかり打てるのです。

ハンマー投げでも同じで、回転している体を、ハンマーをリリースする瞬間に、下半身の動きを止めることにより、下半身の運動量が上半身に移行して、ハンマーのスピードが高まるのです。

室伏選手が、ハンマーを投げた瞬間に、両足がきれいに揃っているのはそのためです。

ゴルフで、飛距離を伸ばすスウィングとは、下半身からダウンスウィングが始まり、下半身の動きに引っ張られるように上半身が動くことです。

体の中心部分を最初に動かすことにより、大きな運動量を生じさせ、それがやがて、腕およびクラブヘッドの方へ移行していきます。

インパクトの瞬間に、「足をしっかり踏ん張る」と言いますが、これは体の動きをスローダウンさせることにより、下半身で生まれた大きな運動量を、腕から最後は、クラブヘッドに移行させることです。

金槌を、釘に当たる瞬間に止めることと、同じ動作です。

タイガー・ウッズのデビュー当時のデータでは、インパクトエリアでの、腕の移動スピードは、トッププレーヤーの中で、一番遅いという結果が出ていました。

ですから、あれだけの飛距離が出ていたのでしょう。

今は、インパクトでの腕のスピードは、以前より速くなっているでしょう。

デビュー当時より、上半身に頼ったスウィングになっていますから。

重量の軽いクラブを使用していると、腕の振りに頼ったスウィングになりやすく、飛距離の低下につながります。

このことは、次回に詳しくご説明します。

タイトルとURLをコピーしました