新旧交代

 「新旧交代」という言葉を、時々耳にしますが、ゴルフでいえば、非常に強い選手が1人または複数人いて、その選手たちが中心になって、優勝争いを数年、または10年以上にわたって繰り返していたのが、最近になって彼らの力が少し衰え、代わって若い選手が力をつけて、優勝するようになった時に、そろそろ「新旧交代」の時期になったと表現されますが、現在の女子プロゴルフの世界を見ると、「新旧交代」というにふさわしくないようです。一時代を築く前に、気がついたら最近名前を見ないな、という選手があまりに多いようです。20歳過ぎの選手が、プロの世界で5年、6年経験を積めばさらに強くなるのが普通に思えます。

 ここで、女子プロゴルフ協会から出ている、スコア統計を見てみましょう。(年間の平均ストローク)

       2010年     2017年     2022年

 1位      70.63       70.29       69.97

 50位     73.88       72.79       72.10

 70位     74.78       73.46       72.56

 平均ストロークが少なくなったという事は、プロゴルファーの技術レベルが上がったと言えるかもしれません。しかし、そうでない部分がかなりあると私は考えます。2000年と、2022年のボールの飛距離はかなり違うと思いますが、2010年と2022年はそれほど大きな差はないように思います。クラブの進歩も少しは寄与しているかもしれませんが、それも大きなものではないようです。ここでは、年間の優勝者の平均年齢は表示していませんが、15年、20年前とは明らかに低年齢化してるように感じます。

 スポーツにおいて、経験の多さ、少なさは結果に影響を及ぼすことがありますが、経験の少なさが結果に良い影響を及ぼすことは多々あると思います。ゴルフでは、経験の少なさが良い影響を与える例として、グリーンに向かってショットするとき、考える材料が少ない時ほど、気楽にショットが打てます。右手前には池があるし、左に外すと深いラフがある、グリーン奥からのアプローチは、下りのラインで難しい、そう考えると、狙える範囲は狭くなり、ショットするときの緊張感は増してきます。

 とりあえず、右の池だけは気を付けてグリーンを狙おう、と決断する人は、グリーンの左や奥を気を付けながらショットする人より、緊張感は少なくなります。ゴルフは、狙う場所を狭くすればするほど、難しさすなわちプレッシャーが大きくなります。20歳前後の選手は、10年やそれ以上ツアーでプレーしている選手より、良いショットを打てる精神的な環境を、知らないうちに持っていると言えるかもしれません。

 私は1流選手とは、10年や20年近く、またはそれ以上の長い期間にわたって、良い成績を残す人だとよく言いますが、「当たって砕けろ」の精神で勝負を続けることはほぼ不可能でしょう。苦い経験を何度も乗り越えてきて、すごく緊張した場面で打てる技術を身に着けた選手のみが、長い期間にわたってよい成績を残すのです。今は、スイングを教えるプロコーチの存在にスポットライトが浴びていますが、彼等のスイング論には、運動の仕組みから見て、違和感を感じるものが多々見受けられます。人間が力を出す仕組みは、何千年、何万年前から変わっていません。プロ、アマを問わず、ゴルフ競技で良い成績を残そうと思っている人は、今まで聞いたことがないような新しい理論に飛びつくのではなく、ほかのスポーツを参考にしてしてください。特に、You Tubeやネットの話などは、注意を要します。

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