テレビなどで、トーナメントで戦っているプロが、「現在スイングを改造中」であるというコメントを時々耳にします。自分のゴルフを、より高いレベルにもっていこうとして努力しているのだなぁ、さすがプロだと感心する話ですが、そのスイングを改造しているプロが、1年、2年、3年後にどうなっているか追跡する人は、殆どいないでしょう。
私は、自分が作ったクラブをプロに使ってもらうために、数年トーナメントに行っていましたが、そこで色んな光景を目にしてきました。今と同じように、ティーチングプロが選手のバッグを担ぎ、ラウンドが終わったら、練習場でプロに打ち方の指導をしていました。私はどんなことを指導しているのか、近くで見ていましたが、「テークバックでは、右ひざを絶対に動かしてはいけない」「ダウンスイングでは、クラブをこういう角度で降ろさなくてはいけない」など、テレビや雑誌で時々目にするようなアドバイスをしていて、そんなことでボールがうまく打てるのか、疑問に感じた私は、その選手がその後どんなプレーをするのか注意してみていました。
どんどん新しい選手が台頭してくるので、少し前に活躍していた選手がいなくなっても、殆どの人は全く気にも留めないと思います。怪我や病気でうまくボールが打てなくなったプロも少しいるでしょうが、殆どはスイングを変えて上手く打てなくなったと私は思います。若い選手が出てきたので、活躍できなくなったと感じる人は多いと思いますが、最近出てこなくなった選手の平均ストロークを見れば、結果ははっきりしています。
写真はフィニッシュで後足(右打ちなら右足)を前に踏み出すことを説明しています。この打ち方は、グランドスラマーである、南アフリカのゲーリー・プレーヤー選手がかなり前にこうした方がショットが安定する、と言ったことから少し注目を浴びたわけですが、ゲーリー・プレーヤー選手はインパクトで頭が右に傾くので、ダウンスイングでクラブがインサイドから降りてくるので、フックボールが出やすくなります。右足を目標方向に出すという事は、より下半身が回転するので、フックボールが出にくくなります。もし、この打ち方をスライスに悩んでいる人が実践すれば、よりひどくなる可能性があります。
メディアでこのような記事を書く人は、雑誌を売ることが目的なので、ゴルフスイングの真実を追求しようとする気持ちは皆無で、またティーチングを仕事としている人の何割かは、今まで聞いたことのないスイング理論を披露することにより、注目が集まり、自分の仕事にプラスがあるかもしれません。スイングまたは「運動の仕組み」の本質を知ろうとする姿勢はなく、目新しいことを探しているのでしょう。
メディアに出てくる「新打法」やティーチングをしている人の「新しい打ち方」は、真実からかなり離れている可能性が高いので、ジュニアゴルファーなど、これからゴルフを一生懸命やりたい人は注意を要します。