クラブ、ボールの進歩がもたらしたもの

この20年から30年で、ボールとクラブの性能が大幅に向上しました。

タイトリストのPro V1というボールが登場して、フィル・ミケルソンが雑誌のインタビューで、ドライバーの飛距離が25ヤード伸びたと言ってましたが、25ヤードという数字は、すぐに信用できませんでした。早速噂のRRO V1を買ってコースで打ってみましたが、ボールがフェアウエイに落ちる前に、かなり飛んでいることが分かりました。明らかに滞空時間が長いのです。

またこの3ピース構造のボールは、コアが硬いので、サイドスピンの量が少なくなり、横の曲がりも少なくなっている気がします。昔、パーシモンのヘッドで、糸巻のボールを打っていた時、アゲンストのホールで、ヒールに当たるドライーバーを打つと、30ヤード、40ヤードの距離が落ちることがあり、距離の長いホールで、風がアゲンストの時は、しっかりとしたショットをしなければならないと、いつもよりも集中してショットしていたような記憶があります。

このコラムを書いていて、最近の自分を振り返ると、アゲンストのホールで、ヒールに当たるショットをしないようにと、特別に注意を払ってないことに気づきました。多少は距離は落ちますが、昔のように大きく飛距離がロスしないので、それほど神経質になることはないのでしょう。

クラブに関して言えば、特にウッドは体積が大きくなり、素材が丈夫な金属なので、少し芯を外れても、飛距離のロスは少なく、サイドスピンも以前のボールに比べれば少ないので、曲がりも少なくなります。では、このクラブやボールの進歩が何に影響しているかと言えば、あるレベルまでに技術を習得する時間がかなり短縮されると言えます。

プロやオープントーナメントで、まあまあの成績と言えばパープレーと言えるかもしれませんが、昔のクラブやボールでは7年、8年かかっていたのが、今では3年、4年あればその域に達するかもしれません。最近の女子プロの試合を見ていると、20歳前後の選手が活躍しています。子供のころからゴルフを始める人が増えたからだという意見もありますが、私は道具等の進歩が大きな影響を与えていると考えます。

それでは、私たちアマチュアゴルファーには、どれほどの恩恵があったのでしょうか?例として、ゴルフ歴10年、ラウンドは月1回、練習はラウンドの前に数回行く、というおそらく平均的なゴルファーを考えてみましょう。最近は、4番アイアンがうまく打てない、ティーアップをすれば何とか当たるけど、フェアウエイからは、ほとんどいいショットが打てない、だから4番アイアンに代わりにユーティリティーを入れました。結果は、前よりうまく打てるようになりました、と答えるゴルファーは多くいると思いますが、本当にうまく打てるようになったのでしょうか?

4番アイアンでは、ミスをすると40ヤード、50ヤードショートしていたのが、20ヤード、30ヤードのショートになっただけで、ナイスショットは打ってないのです。それで少し安心して、自分の欠点を修正するのを怠れば、だんだんうまく打てなくなります。我々アマチュアゴルファーは、そんなにシビアにゴルフを考えなくてもいいかもしれませんが、ゴルフコースに行くという事は、少しでも良いスコアを出したいのが、ゴルファー全員の願いでしょう。道具が少し進歩したからと言って、油断してしまうと、結局「いいゴルフ」は出来なくなります。自分のショップで、日々お客様の大たたきをした嘆きを聞いている私としては、少し性能が向上したクラブを買ってもらっても、その恩恵は長く続かないのだなぁ、と感じています。

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