「数字」の弊害

頭で理解しやすいことに潜む罠

前回は「知識の弊害」でしたが、今回は「数字の弊害」という話です。

前回の記事はこちら

4年近くに及んだスランプの始まりは、自分の打っているボールの切れのなさや、勢いのなさにだんだん我慢できなくなり、もう一度「ああ、いいボールだ」と思えるようなショットを打ちたい、そのためにヘッドスピードを上げようと決意して練習をはじめ、そして目標としていたヘッドスピードを超えたときに、さらにその上のスピードに目標を上げて、速く振ろうとした瞬間から大スランプが始まったのです。

写真にあるヘッドスピードを測る機械に、「52.2」と表示されて、自分では最初は信じられなかったのですが、今の感じで「52.2」が出るのならば、もう少し速く振れば「53」や「54」という数字が出るのではないかとか思い、速く振る練習を始めてひどい状態に陥っていったのです。

ヘッドスピードを上げようと決心したのが、平成16年の暮れでした。

それから練習をはじめ、夏になったころにはラウンドしていても、ボールがよくとぶなという印象を持ちましたが、その時はまだヘッドスピードを測っていませんでした。

そして、初めてヘッドスピードを測ったのが、平成17年の7月の終わりか8月の初めで、いきなり「50」という数字が出て、最初は器械が誤動作をしたのではないかと思ったことをはっきりと記憶しています。

このあと、自分の目標はヘッドスピードを測る器械に「53」とか「54」という数字が出ることに変わったのです。

技術的な面から言うと、ヘッドスピードを上げるためには、身体の力、特に腕の力を抜いて身体の中心の力でボールに力を加えることが一番大事なのですが、ボールを遠くに飛ばそうではなく、クラブを速く振ろうということに意識が変わったところから、腕の力を抜いてヘッドスピードを上げたにもかかわらず、知らず知らずのうちに腕の力でクラブを振ろうとしていたのです。

スピードを目標にすることのもう1つの危険は、クラブヘッドの芯にジャストミートすることではなく、目標はスピードを上げることですので、いつの間にか私のスウィングはジャストミートできないひどいものに変わっていきました。

いくらスピードがあっても、芯に当たらなければボールは飛ばないことを知っているつもりでも、スピードを上げることに夢中になっている間に、一番大事なことを忘れてしまって練習を繰り返していました。

ゴルフのレッスンを見ていても、よく「数字」が出てきます。

トップオブスウィンウグでは、右足に80%、左足に20%体重を乗せてとか、肩は90度、腰は45度回してください、などです。具体的に数字を示されると、これからしようとすることが明白になって、どんな練習を、すなわちフォーム作りをすればいいのか分かりやすいようですが、ここにも大きな落とし穴があります。

右手でボールを投げようとする時は、無意識に左足を上げますが、それは大きなパワーを出すための自然な動きであって、右打ちでボールを打とうとすれば、左足をヒールアップして体重を右足に乗せて、そしてボールに大きなパワーを加えようとするのは、ゴルフも野球も一緒です。

左足を上げるのは「自然な動き」であって、右足に体重を何%乗せようなどとは考えていません。

右足に何%乗せてとか、肩を何度回してとか、それを意識しながらスウィングしている人は、見ていてすぐに分かります。

そういう人のスウィングは、躍動感が全く感じられませんし、「動き」自体に不自然さが感じられます。

50mを何秒で走ろうとか、ボールを何十メートル飛ばそうとか、そのような「数字の目標」は全く問題ありません。

頻繁に会話の中に出てる「数字」に注意してください。

私の場合、ヘッドスピードをあげる目標はやめにしました。

ホームコースの法仙坊CCの1番ホールは、バックティーで約600ヤードの打ち下ろしのロングホールです。

平成17年の6月か7月にツーオンしたのが最後です。

今年の夏には、もう一度ツーオンしたい、これが今の目標です。

タイトルとURLをコピーしました