プロとしての自覚と誇り

 

 先日、ゴルフ中継の中で、岡本綾子プロが現役時代のエピソードを話していて、非常に良い話だと感心しました。半分は自分がテレビを見ており、接客中だったので全部は聞き取れなかったのですが、後日お客様が半分を補う話をしてくれました。

 話の内容は、試合中に同伴競技者の選手が調子が悪く、少し不貞腐れたようなプレーをしていたら、ほかの選手がその態度について注意をしたという事です。アメリカのLPGAのメンバーとして、そのような態度をとるべきではない、おそらくギャラリーに対しても、一緒にプレーしている選手に対しても、非常に失礼だという事です。このような伝統は、今も残っていることを願います。自分はPGAのメンバーだという「自覚と誇り」がそのような言葉に表れているのでしょう。

 残念ながら、今の日本のプロツアーには、そのような「空気」は感じられません。色紙を持っているギャラリーを見ても、無視をして通り過ぎる選手をたくさん見てきたし、その態度を見ていた他のプロが注意をしているのも、見たことはありません。勿論、全員がその様なプロばっかりではなく、しっかりとサインする選手もいます。一度だけアメリカツアーを見てきましたが、「暴れん坊」のイメージがあるジョン・デーリー選手が、テレビを見ているとかなり人気があるように感じたのですが、実際にトーナメント会場で彼を見た時、ほんとに多くのギャラリーにサインをしているし、子供たちにボールなどをあげている姿を見ました。人気があるはずです。

 1,2か月ぐらい前に、選手と意見が合わずにキャディバックを放置して、キャディが「職務放棄」したという記事が載っていました。大声を出して、キャディバッグを置いて帰ってしまったという記事がネットに載っていました。これが本当なら、この人はキャディをしてはだめです。しかし、この後 You Tubeに18番のティーグランドの映像が出ていて、それを見ると女子プロのほうから、「バッグはもう担がなくていい」と言っていました。それで、キャディはバッグを18番のティーグランドに置いて、帰っていったように見えました。記事には、怒鳴りながら帰っていったと書いてありましたが、映像には静かに帰っていったように見えます。

 一部のメディアを除いて、私はマスコミを信用しておりませんが、マスコミは極めて選手よりの立場をとっています。選手と仲良くして、ちょっとした「話のネタ」をもらうのが大事な仕事になっているようです。去年、大相撲の力士がキャバクラに行って、6場所の出場停止という、非常に厳しい処分を科されましたが、一緒に行ったのがマスコミ関係者らしく、「俺たちはシロウトじゃないんだ」とわめいてようですが、選手の近くにいるという、一種の特権階級と勘違いして、横柄な振る舞いをする程度の悪い輩が多いようです。

 先ほどのキャディの「職務放棄」の話に戻ると、最初に出たニュースは、100%キャディが悪いという内容でした。しかしキャディの話が載っていましたが、納得できる内容でした。OBらしいショットの処置に、お互いの意見の食い違いがあって、口論になったみたいですが、試合の後の女子プロの話に、「みんなに怖い思いをさせてので、謝ってほしい」というのがありましたが、まったく幼稚というか、自分の取ったキャディに対する態度が原因になっていることが理解できていないと思います。

 ゴルフのツアーの場合、春先から8,9か月一緒に全国を転戦するのですが、お互いが「仲良しグループ」になって、悪いことも見て見ぬふりをする、波風が立たないようにする、こういう風潮が蔓延すると、男子ツアーのようになるのは必然でしょう。しっかりしたリーダーの登場を切に望みます。

 

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