道具が主役

 日常、いろんな作業をする時に、様々な道具を使います。金づちで釘を打ったり、食べ物を包丁で切ったり、刷毛でペンキを塗ったりするときに必ず道具を使いますが、その時身体の動きに意識を置くのか、それとも道具がスムースに動くほうに意識を置くのかどちらでしょうか?

 ほとんどの人は、道具がスムースに動くように意識を置きます、と答えるでしょう。包丁で食べ物を切る場合、包丁が「動きやすい」ように使うはずです。人間が包丁を発明してから、相当の長い年月が経過して今の形になったのでしょうが、刃の形や大きさ、また柄(持つ部分)と刃の位置関係など、物を切る道具として最高の形になっているはずです。だから、包丁を持つ腕の動きではなく、包丁が物をうまく「切ってくれる」ことに集中するのです。

 ゴルフもクラブという道具を使って、ボールを打つのですから、自分の体の動き以上に、「道具の動き」に意識を持って行ったほうが良いと思います。ゴルフクラブができて,おそらく150年以上経っていると思いますが、シャフトが木からスチールやカーボンに変わりましたが、基本的な形は変わっていません。ソールの形状など、細かいところでいろいろ進歩して、現在の形になって、非常に使いやすいものになっています。クラブが動きやすいようにスイングすることは、ボールをうまく打つうえで、大きなヒントになると私は考えます。

 パッティングはほかのクラブに比べて振り幅が小さいので、道具の動きが感じやすいのではないかと思います。プロのトーナメントを見ていると、バックスイングに比べてフロースルーが大きく、またパターヘッドをストレートに出そうとする選手が時々見受けられますが、その選手には悪いのですが、短いパットを外すシーンを、たまにですが見かけます。道具に合ってない打ち方と、私は思います。

 昔、グランドスラマーのベン・ホーガンは、クラブがスムースに動く素振りを何度も繰り返して練習したと本に書いてありましたが、シンプルな練習ですが、最高な練習と思います。

 ゴルフのレッスンを見ていると、前傾角度がどうとか、腕がフロースルーで伸びるようにとか、いろいろ言われていますが、ボールを打っている本人は、どのくらいの前傾角度がいいのか、わからずに練習をしているのではないでしょうか。クラブがスムースに動くという感覚は、決して他の人に説明できるものではないですが、説明できないものが本当の感覚だと思います。私は、そのような練習がベストではないかと考えます。

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