最近、バックスウィングで右膝を止めて、スウィングしようとする人を多く見かけます(以下、右打ち、右投げを前提)。
アドレスでの右膝の位置を、全く動かさないようにバックスウィングするのですが、このスウィングの特徴として、フィニッシュで後ろ足に体重が残る(正確には戻る)、ショットがすくい気味になり、たとえばピッチングウェッジやアプローチウェッジでショットした時、打った瞬間の自分の感じは良いのですが、ボールの行方を見ると、思ったよりショートする、などです。
トップオブスウィングからダウンスウィングでの一番重要な動きは、右サイドから左サイドへの体重移動ですが、この体重移動で、大きなパワーを生んでいます。
大きな体重移動で、パワーを出す動作の1つに、野球のピッチングフォームがあります。
ピッチャーが、左足を高く上げた時、右足のほぼ真上に右腰が位置していますが、このポジションが、一番地面を強く蹴れる形なのです。
地面を蹴ると、蹴った力と同じだけの力が、自分の身体の方へはね返ってきます。
これを地面反力といいますが、これが人間のパワーの源で、つるつるすべる氷の上で、ゴルフスウィングやボールを投げる動作が出来ないことからも理解できます。
再現性の高いスウィングの本質とは
ここで、皆さんに実験をしてもらいたいのですが、写真の不動プロのように、右足のほぼ真上に右膝が位置するポジションから蹴るのと、アドレスでの右膝の位置は、右足より少し内側にあるのが一般的ですが、右膝が右足よりやや内にあるポジションから蹴るのと、どちらが強く地面を蹴れるでしょうか。
写真の不動プロのようなポジションから蹴った方が、強く蹴れたはずです。
彼女は、女子プロ界きってのショットメーカーです。
ショットメーカーとは、わかりやすく表現すれば、ナイスショットを打つ確率の一番高い人のことを言いますが、ショットメーカーとは、言い方を変えれば、再現性の高いスウィングの持ち主といえます。
不動プロと同じようなフットワークをするプロに、メジャー18勝のジャック・ニクラウスがいますが、彼もショットメーカーといわれていました。
右膝が動くと、スウィングの軸がぶれる、そしてショットがぶれる、と考えている人は多いと思いますが、ミスショットの大半は、上半身に力が入った「手打ち」が原因です。
右膝を止めることによって、下半身で生まれるパワーの不足分を、もし上半身で補おうとしたら、いい結果は期待できないように思えます。