満足する道具

 ゴルフ場でラウンドするときに、一番の楽しみはよいスコアが出る事でしょう。よいスコアでプレーを続けていて、最終ホールが近づくと、ドキドキするのは誰でも経験があると思います。ラウンド回数がある程度多ければ、何回に1回とか、何十回に1回良いスコアが出ることがあります。これが、ゴルフを長く続けられル、1つの動機になるかもしれません。

 今のハンディキャップをさらに下げようとか、少し大きな大会に出て、予選を通過する、またはその大会で上位に入ろうとすれば、自分のゴルフの「実力」を上げなければなりません。実力を上げるというのは、より正確なショットを打つ、飛距離をアップする、グリーン周りのアプローチショットを、今まで以上にカップに寄せる、パッティングの上達、すなわちショートパットのミスを少なくする、などしなくてはいけないことはたくさんあるでしょう。

 ただ、上で述べたスキルアップは、言葉で書くのは簡単ですが、これを自分の技術として身に着けるのは、本当に大変なことです。かなり昔、何度も優勝を重ねたトッププロが、ある理由で数年試合から離れていたのですが、試合に復帰することが決まり、ゴルフジャーナリストがそのプロを訪ねて、これからの復帰について抱負を聞いたら、「2年待ってくれ」と言われ、その言葉にすごく驚いて、身体がどこも悪いところがないのだから、すぐにでも試合に出ればよいと思ったのです。

 そのトッププロは、試合に出場するなら、以前のように優勝、または優勝争いするゴルフをしたいので、「錆びついた」技術を昔のようなものにするためには、そのぐらい時間がかかるという事を、はっきりと理解していたのです。多くのゴルファーは、技術を身に着けるという作業は、1年、2年という長い時間が必要と考えてないのではと思います。だから、躊躇なくスイングを変えようとするのでしょう。

技術を向上させるために必要不可欠な事は、クラブの芯でボールを打つことです。芯から多少はずれても、ボールはそこそこ飛ぶので、高いレベルの技術を目指していない人にとれば、芯で打つ必要性は、あまり感じないかもしれません。

 パッティングに絞って、芯で打つ大切さを考えます。パッティングラインが、いつもストレートなら、芯で打つ必要性が少し減ると思います。右や左に曲がるラインでは、ボールの転がる勢いと方向が一致しなければ、ボールはカップに沈んでくれません。パターヘッドの動きが同じでも、芯に当たる場合と、芯から外れた場合では、当然ボールの勢いは変わります。ゴルファーはパッティングする際に、芯で当たったボールの勢いと、芯から外れた少し弱い転がりのどちらをイメージするでしょうか?

 殆どのゴルファーは、芯で当たったことをイメージすると思います。芯でストロークできたかどうかを知るのは、ボールを打った本人の「感触」または「感覚」でしかありません。その「感触」または「感覚」を求めて練習を繰り返す、地道な練習です。

 写真は、ステンレスの削り出しパターです。軟鉄の削り出しパターと比べて、打感はどのぐらい違うかと言えば、ほんの僅かでしょう。ステンレスのヘッドには、メッキを施すことは必要ありませんが、軟鉄の場合は、錆を防ぐために、メッキをしなくてはならなりません。メッキが金属の表面を、どのぐらい固くするかは数値的なデータは持っていませんが、それはそんなに大事ではありません。

 ステンレスの削り出しパターは、軟鉄の削り出しパターに比べて、価格は少し高くなりますが、芯でボールを打つという、決して簡単ではない技術を身に着けるために、僅かな打感の違いを感じる道具として、メッキをしていないステンレスの削り出しパターを選ぶことは、技術の精度をより高めるため、自分に対する覚悟としての意味があるかもしれません。

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