フィッティング

クラブをマイナーチェンジするよりも大切なこと

「フィッティング」という言葉は、一般に多く使われているとはいえないかもしれませんが、自分の体型やスウィングに合わせてクラブを作る、または修正することを言います。

「フィッティング」を前面に出しているクラブメーカーといえば、アメリカの「PING」でしょう。

「PING」のカタログを見ると、身長と手首から地面までの距離を測ったり、クラブのソールに特殊なシールを貼り、スウィングした時に地面とこすれる部分がシールに現れるので、それを基にクラブのライ角を選んだり、その人に合わせたクラブを作るという点では、十分に準備されていると感じます。

私も、平成7年に「アマチュアリズム」を立ち上げた時、ライ角やフェースアングルなどを色々選べる、カスタムフィッティングをはじめました。

アイアンクラブも1本から購入できる「バラ売り」も始めました。

当時としては、アイアンクラブのバラ売りは殆どなかったので、かなり好評でしたが、今振り返ると「カスタムフィッティング」はかなり喜んでいただけた方もいましたが、中には何度も修正をしたこともありました。

そして、その何度も修正したお客様は、最終的には満足していなかったように思えます。

話は変わりますが、昔プロのトーナメントによく行っていたときの事ですが、何度も優勝経験のある女子プロと話していた時のことで、その女子プロは「私は調子の悪い時は、絶対にクラブを新しいものに換えない様にしている。そうしないと、いま自分の状態がどんなふうなのか、全くわからなくなってしまうから。」と言いました。

全くその通りだと思いました。

トーナメント会場を歩いていると、「大井さ〜ん、そのクラブ打たせて」と言ってくるプロは時々いましたが、何故私の作ったクラブを打ちたいかというと、その女子プロはショットの調子が悪くて、クラブを換えることによって、少しでも調子が上向くことを期待しているのでしょう。

プロもアマも同じで、調子が悪い時クラブを換えたら、調子が上向くかもしれない、そのように思いたいものです。

私が、今フィッティングにあまり力を入れないのは、クラブを換える人の何割かは、調子が悪いのでクラブを換える動機となっているのです。

調子の悪い時にフィッティングしてクラブを作れば、調子がよくなればそのクラブでは、良いショットが打てないはずです。

スウィングはゴルフをやっている限り、常に変化するものだと思います。

ショットの調子が悪くなると、シャフトを代えたり、ライ角を変えたり色々する人がいますが、そういう人は何度もショップに来られて、常にクラブに対して愚痴をこぼします。

こういう人は、さっきの女子プロの言葉で言うなら「自分がどういう状態になっているかが分からない」であり、調子のよいときのゴルフを取り戻すのは、なかなか難しいでしょう。

フィッティングそのものは素晴らしいことですから、非常に調子のよいときにフィッティングをしてクラブを作り、調子が悪くなったらクラブをいじるのではなく、自分のスウィングをしっかりと見つめて、今のクラブでよいショットが打てるように練習して調子を上げることが、最善で唯一の方法ではないでしょうか。

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