先端強化のないシャフト

ゴルフ理論(道具編)

大分前ですが、アメリカの会社でシャフトを作りました。

今から思うと、その時はあまり深く考えてなくて、日本に営業に来ているアメリカ人が熱心に勧めてくれるので、そして発注する量も、思ったほど多くなかったので、品質や性能を厳しく調べる前にオーダーしたようなものでした。

アメリカより日本の方が折れやすい

製品がアメリカから送られてきて、私のところのヘッドを売っていただいてるショップなどに商品を紹介して、販売を始めました。

その頃はプロのトーナメントにも行っていましたので、何人かのプロにそのシャフトが付いているドライバーを試打してもらうと、思いの外好評を得ました。

それで気をよくし(多少、自信を持ち)、販売を進めていくと、シャフトが折れたと、何件かのクレームが入りました。

ヘッドが割れるとか、シャフトが折れるとか、製品としては絶対に避けなくてはいけないことなので、悩んでいるところに、営業のアメリカ人が日本に来たので、彼と色々話しました。

アメリカでは折れることは非常に少ないと彼は言うのです。

それに、アメリカ人の方がパワーがあるはずなので、日本で折れることに説明が出来ないというのです。

色々考えているウチに、打席の違いに気づきました。

アメリカのドライビングレンジは、打席は全部芝の上から打ちますが、日本の場合は殆どゴムの上から打ちます。

摩擦は、日本の方が当然大きくなります。

トッププロは、飛距離よりフィーリングを重視する

折れる原因が分かったので、先端を強化したシャフトを15本か20本ぐらい作ってもらい、試打すると同時に、トーナメントに行って、今シャフトを使ってもらっているプロに打ってもらうと、ほぼ全員が前のシャフトの方が良いというのです。

シャフトの良さは、人によって表現は違います。

よく言われたのは、「インパクトの時、ヘッドが走る」、「ダウンスイングでヘッドが戻ってくる感じがいい」、「インパクトの時、ボールを押す感じがいい」、など様々です。

それで、写真のシャフトを使ってもらっていたのですが、今振り返ると、「距離がよくでるからいい」と言ったプロはいなかったように思います。

「いい感じで振れる」ということは、ナイスショットに結びつきやすい、ということではないでしょうか?

極端に硬いものや、柔らかいシャフトで、気持ちの良いナイスショットが打てる気はしないのがゴルファーなのでしょう。

ボールを打ったときに、良い感覚を持てるゴルフクラブは、ナイスショットを打つために必要不可欠な要素と思います。

当初、シャフトが折れたときは、こちらも多少は動揺しましたが、40、50本ぐらい出荷したショップで1本も折れていないところがかなりあり、折れることにナーバスになりすぎていた面がありましたので、最近はまた販売を始めました。

数人のお客様からは、お陰様で好評価をいただいております。

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