バックスピンがかかる仕組みとは
今度は、スコアライン(フェースにある溝のこと)の規制です。
この溝の規制は、今年はプロのツアーのみに適用され、2014年度からはアマチュアの公式な競技に適用されます。
ただし、現段階ではクラブ競技レベルでは、適用しない方針のようです。
このルール改正の趣旨は、ラフからショットした場合、フェアウェイからショットした場合と大きな差が出ない、つまりバックスピンが著しく減少しないので、ラフの意味(ラフに打ち込んだら、次のショットの難易度が上がる)が少なくなっているから、ラフからショットしたらボールが止まらないような、溝の形状や深さにしましょう、と言う話のようです。
ただし、ここで言っている「ラフ」とは、ボールが草で覆い隠されるような「ラフ」ではなく、草の長さが短く、また凄く草が密集しているラフではないようです。
草が密集していて、ボールが沈んでいるようなラフからは、どんなクラブで打ってもバックスピンは、あまりかからないでしょう。
バックスピンはなぜかかるのかを、もう一度考えてみましょう。
写真は、スコアラインのないウェッジです。
このクラブを実際にコースで使ってみて、スピンがよくかかるので購入されるお客様もみえます。
5番アイアンより9番アイアンの方が、バックスピンはよくかかります。
9番アイアンの方が傾斜(ロフト)が大きいので、ボールとフェースが衝突した時、ボールはより多くフェースの上の方へ駆け上がろうとします。
ヘッドスピードの速い人が、より多くのバックスピンがかかるのも同じ理由で、クラブヘッドがより速いスピードでボールにぶつかれば、ボールはより勢いよく、駆け上がろうとします。
ボールとフェースが接触している時間は、数百分の1秒ですが、その僅かな時間のこのような現象が起きているのです。
もし、フェースの表面が滑りやすい材質であったら、バックスピンはかかるでしょうか?
答えは、ノーです。
ボールとフェースは、滑りやすい関係ではいけません。
ウェッジでショットすると、スコアラインにボールの表面のカバーが削り取られて、溝の中にボールの表面部分が残っていることがあります。
この現象は、溝の角の部分で、ボールに強いバックスピンを与えている印象を与えますが、実際はその逆で、ボールの表面を削るという事は、ボールがフェースの上を滑らないと起こりえません。
ボールが傷つき、スピンも減る、まさに両損ですね。
溝自体も空間ですから、摩擦は起こりえません。
ボールとフェース部分に水分がない状態であれば、溝なしが一番摩擦が大きい(スピンがかかる)と言えます。
最近のトーナメント中継を見ていると、溝のことを盛んに口にする解説者がいますが、フェアウェイからショットする分には、殆ど影響ないでしょうし、ピンに寄ったか寄らないかは、ショットした選手の打ち方が、大半を占めているように思えます。