重き荷を背負っていくが如し
写真は、市販されているクラブですが、これより軽いクラブをまずないでしょう。
総重量が247.5gです。
シャフトだけではなく、ヘッドもグリップも本当に軽いものを使っています。
このような軽いクラブを使えば、もっと飛ぶだろうなと考えるコルファーは多くいると思います。
でも、本当に飛距離が伸びるのでしょうか?
昔、あるゴルフ雑誌のなかで連載をしていたとき、重いクラブを振って練習をしたら、どのような変化が起きるかを紹介するために、2人の人に協力してもらって実験をしました。
この話は、以前この「四方山」で紹介したものですが、今回は少し違った角度で進めて見たいと思います。
2本のドライバーを用意しました。
1本はカーボンシャフトのドライバーで、総重量は約300g、もう1本はスチールシャフトのドライバーで、総重量は約370gです。
それぞれのクラブで30球ドライバーでボールを打ってもらいます。
そして、ヘッドスピードを測りながら、その後7球ボールを打ってもらい、一番速いヘットスピード と一番遅いものを削除し、平均のヘッドスピードを算出すると、軽いカーボンシャフトのドライバーで30球打ったときより、重いスチールシャフトのドライバーで30球打った後のほうが、ヘッドスピード上がります。
今まで10ぐらいの人で実験しましたが、ほぼ同じ結果が出ます。
重いドライバーで30球打ったから、筋力がアップした、と考えることは不自然です。
重いクラブを振るために、腕の力ではなく、下半身を中心とした、より大きな筋肉を使おうと、体が勝手に変わったのでしょう。
ここで注目したいのは、30球打っただけで、身体の使い方が変わったということです。
今まで、総重量320gのクラブを使っていた人が、軽量クラブである総重量280gのクラブに替えたら、おそらく10〜20ヤードの飛距離アップが望めると思います。
ところが、その飛距離アップがいつまで続くかということです。
上で述べたことからすれば、「あっという間」かもしれません。
昔、クラブの重量を軽くしたお客様に、「追跡調査」を何度かしたことがあります。
ラウンド回数の多い人であれば、1ヵ月後に「あのクラブ、よく飛んでいますか?」と聞くと、スッキリとした答えは、まず返ってきません。
クラブを換えた瞬間の飛距離は、せいぜい2ラウンドか、3ラウンドもてばいいほうかもしれません。
徳川家康が言うように、「人の一生は、重き荷を背負い、遠き道を行くが如し』かもしれません。
厳しい話です。