たくさんのことを教えていただきました
28日、インターネットのニュースを何気なく見ていたら、「杉原輝男さん、死去」という文字を見つけました。
自分の身内でもないのに、かなりショックを受けました。
杉原さんは、私のもっとも尊敬するゴルファーでしたから。
バンカーのならし方のところで、杉原さんのことを書きましたが、もう一度ここで述べたいと思います。
杉原さんがバンカーショットをした後、自分自身でバンカーをならしていたのですが、砂の表面の凹凸が全くないぐらい、ものすごく丁寧にならしていました。
バンカーをならすということは、次にこのバンカーにボールを入れた人が、全くいやな思いをさせないことである、と言うことを教えていただきました。
私が東海クラシックに出たとき、パッティンググリーンで杉原さんと同じカップに向かってパッティングをしていました。
カップに沈んでいるボールを取り出したとき、杉原さんのボールも一緒に取り出したのですが、その時杉原さんは私の方を見て、「おにぃちゃん、おおきに」と人なつこい素晴らしい笑顔で声をかけてくれました。
私は見かけない顔なので、普段自分たちがコースで戦っている選手とは違う人に対する、歓迎の気持ちを込めた笑顔だったと、今はそう感じています。
今から30年以上前に、和歌山県の橋本CCというコースで日米対抗という試合が行われたときのことです。
練習日だったと思いますが、練習場で杉原さんがボールを打っている姿を見たアメリカのプロが、「我々に混じってアマチュアがボールを打っている、やつをつまみ出せ」と関係者に言ったそうです。
その話が杉原さんの耳に入り、杉原さんの闘志に火をつけました。
橋本CCは、全長が7,400ヤードを超える、とてつもなく長いコースなのですが、フェアウェイからドライバーを駆使して、個人優勝を果たしたのです。
ボールを操る技術があれば、飛距離が出なくても長いコースを克服出来ることを世間に示したのです。
10年ほど前に、青木功プロが毎回ゲストと18ホールプレーする番組があり、青木プロが「第1回目のゲストは、この人しかいない」ということで、杉原さんが登場しました。
青木プロが、あるホールのグリーンサイドのバンカーからショットしたら2mぐらいショートし、そのホールが終わったとき、杉原さんが「今のショットはどうしたんや?」と青木プロに尋ねました。
すると青木プロが「砂が重たくて,,,」と言いかけたら、杉原さんが「それを言ったらいかん」と言いました。
でも、青木プロが「やっぱり砂が重たくて、、」と言いだしたら、「それを言ったらいかんのや」と杉原さんが遮りました。
それを言ったら、技術の進歩は止まる、それを言いたかったのでしょう。
その後、青木プロはカメラの前で「先輩、すみませんでした」と詫びたのです。
青木プロも素晴らしい人です。
今までは、「杉原プロ」とかならず書いていましたが、なぜだかわかりませんが、今は「杉原さん」としか書けません。
今までたくさんのことを教えていただき、誠に感謝しております。
ありがとうございました。