度肝を抜かれた練習場での出来事
今年の全英オープンは、途中から凄く興味を持って見てました。
最近、トーナメントを見ていても、この選手に絶対勝ってほしいとか思うことが殆どなかったのですが、今回はトム・ワトソン選手に是非勝ってほしかった。
しかし、全英オープンは写真にあるような、木のシャフトのクラブでプレーしていたときから続いているので、相当重みのあるトーナメントで、しかも毎年リンクスで開催されるので、いつも楽しみにしている試合の1つです。
今から30年以上も前、サントリーオープンが静岡県にある愛鷹シックスハンドレッドCCで行われていたとき、プロに転向したばかりのトム・ワトソン選手が出場していました。
スタート前、練習場にいたワトソン選手を見た私は、将来が嘱望されている選手なので、興味を持って練習を見に行きました。
その練習場は、打席が土で、アイアンを打つときは、ゴムマットにボールを置いて打っているプロが大半でしたが、ワトソン選手は土の上から直接ショットしてました。
無造作にボールを土の上に置き、速いリズムでボールを打つ。
速いテンポでボールを打ち続けるのですが、持っているアイアンは薄っぺらなヘッドで、ロングアイアンであることは分かりました。
逆光ではっきりとどこまでボールが飛んだのかはわかりませんでしたが、となりで打っている日本人のプロのドライバーよりはるかに凄い弾道でした。
私は、彼のキャディバッグの近くに立っていたと思うのですが、やがてワトソン選手がクラブを換えに来ました。
今まで打っていたクラブをキャディバックの中に戻したのですが、そのクラブのソールには「1」と書かれていました。
私は、あっけにとられるとともに、1番アイアンで土の上に置かれたボールを、凄く高い弾道で、しかも凄く遠くまで飛ばす、技術とパワーに度肝を抜かれました。
今のワトソン選手と同じで、構えたらすぐにバックスウィングが始まるので、いとも簡単に打っているように目に映るから、よけい大きな衝撃を受けたのでしょう。
それから数年たち、メジャートーナメントに何度も勝つ様になりましたが、クラブを抜いたら躊躇せずに、速いリズムでボールを打つ、そして、ミスをしてもクラブを放り投げたり、クラブでフェアウェイを叩いたりなど、決してしない数少ない選手でしたから、ずっと彼のプレーを見るのが好きでした。
大分前から、ワトソン選手がパットのイップスになり、50~60cmぐらいのパットをはずすようになってからは、見ているとこちらが辛くなって、テレビの画面を見なくなりました。
だから今回は、楽しくテレビを見ることが出来ました。
パットさえ入れば、ショットはまだトップレベルにあるので、本気で優勝を期待したいです。
お疲れ様でした。