ナイスショットが出ない中での戦い方
3月14日(金)から16日(日)にかけて、宮崎県の 青島ゴルフ倶楽部で行われたアコーディアゴルフレディースで、不動裕理選手が逆転優勝しましたが、ゴルフファンの人ならすでにご存知のことでしょう。
2日目が終わった後、「とても明日は優勝を争えるようなショットをしていない。」とコメントしていましたが、結果は7バーディー、ノーボギーのラウンドで、プレーオフに持ち込んでの優勝でした。
彼女は、本当のプロの中のプロです。
私が始めて不動選手を見たのは、平成8年のことです。
以前にもこのコーナーで書きましたが、プロの森口祐子さんが弊社のクラブでトーナメントに出ていましたので、もっと多くの女子プロにアマチュアリズムを使ってもらうために、1年で22試合のトーナメント会場に出かけました。
そして、トーナメントコースの練習場で、夕方1人だけでもくもくとボールを打っていたのが不動選手でした。
その時、彼女と同じぐらい練習する選手は、1人もいませんでした。
彼女の練習量は、郡を抜いていましたが、練習における1球のボールを打つ真剣さも他を寄せ付けないものでした(上達するためには凄く大事なことです)。
そして、その時は、アイアンショットで大きくフィニッシュを取らないうち方をしていたのが印象的でした。
先日のトーナメントに話を戻すと、「こんなショットではとても優勝争いに加われない」とコメントしながら、翌日(最終日)素晴らしいプレーで逆転する、何故バーディーを量産するショットが打てたのでしょうか?
不動選手は、相手に油断を生ませるためにコメントするような選手ではないと思うので、そのコメントは本心だったでしょう。
本当のところは不動選手に聞かなければわかりませんが、彼女は最終日にナイスショットを打ち続けて勝ったのではない、と私は考えています。
自分のショットの不完全さをよく理解したうえで、今出そうな致命的なミスショットを避けるショットを打ち続け、それが「運」よくピンの近くによって、パットが入ったということなのでしょう。
もう少し具体的に説明します。
私の例で言えば、ピンの左に大きなバンカーがあり、距離は7番アイアンとしましょう。
ある程度練習のしている時であれば、バンカーには絶対入らないように打てるのですが、少しバンカーを気にしすぎて右にプッシュ気味のショットを打ち、ピン右手前8mにオンしました。
仮に、このショットを見ていた人が、まだ100を切れない人であれば、私のショットはナイスショットに見えるかもしれませんが、私にとっては、致命的なミスショットではないにしても、ナイスショットではありません。
不動選手は、抜群の練習量と、ゴルフというゲームの本質を深く理解しており、我々アマチュアから見ればナイスショット見えるショットも、彼女からすれば致命的なミスをしない「安全」に打ったショットの連続だったかもしれません。
彼女は、そういうレベルでコースで戦っていると、私には感じられます。
さすがです。