温故知新10

体の声に従おう

「肉体は、頭脳より頭がいい」  昔誰かが言っていた言葉

昔、どこかで聞いた言葉ですが、今でも時々思い出す言葉です。

しかし、この言葉はどのような意味を持っているのでしょう。

ゴルフ理論が頭の中にいっぱいある「頭脳偏重系」の人のゴルフは、ボールに構えてから打ちぬくまで、沢山の「儀式」を済ませなければならないようです。

テークバックはオンプレーンに沿ってクラブを上げ、トップオブスウィングでは肘の角度が90度、ダウンスウィングでは再びオンプレーン上にクラブを走らせ、フォロースルーでは右腕を伸ばしながら、目標方向にクラブヘッドを放り投げるようにする、etc、、、

沢山のことを頭に思い浮かべて、それを忠実に再現しようとしています。

頭の中でこのようなことを考えて、僅か2秒足らずのスウィング中に、考えていることが実現できるのでしょうか。

レッスンを受けに来られた人に、よく次の質問をします。

「ティーグランドのようにフラットなところで5番アイアンを打つときのスウィングの軌道と、つま先上がりのライから打つ5番アイアンの軌道は同じでしょうか?」。

答えに要する時間は、「頭脳偏重系」の人の方が長いようです。

きっと頭の中で、色々複雑なことを考えているのでしょう。

答えは、スウィングの軌道は、フラットなライとつま先上がりのライでは異なります。

鏡の前でスウィングするとよく分かりますが、足元と同じ高さにあるボールを打とうとしてバックスウィングで止めたときと、写真のように地面から50cmぐらい離れたところにあるボールを打つときのバックスウィングでは、両手の位置が明らかに違ってきます。

何故スウィングがフラットになったかというと、地面から50cmも上にあるボールを打とうとしたからであって、フラットに振ろうとしたからではないということです。

打とうとしたから、勝手にフラットになっただけに過ぎません。

もし、50cm上にあるから、いつもよりもコブシ1個か1個半フラットなバックスウィングにしようとしたら、ボールに上手く当たると思いますか?

ゴルフをやったことのある人でしたら、ボールに当たらないであろう事は、感覚的に感じるはずです。

多くの人がゴルフ場で楽しくプレーしていますが、何気なくショットしているつま先上がりやつま先下がりは、体がスウィングの軌道を上手く調整して、ナイスショットを打たせてくれるのです。

最初の言葉の意味は、頭で考えてボールを打つよりも、「無心」または「感覚的」にボールを打つほうがよい結果が出る、そのような意味と思います。

多くのゴルファーを見てきましたが、「頭脳偏重系」と言いますか、スウィングの理論にうるさい人の特徴として、練習場で見るとなかなか美しいフォームをしている人が多いようです。

しかし今のような時期、つまり芝生が枯れてボールのライはよくない時に、スコアが大きく崩れる人が大半のようです。

夏のようにボールが芝生の上に浮いていませんので、ミスショットがはっきりと結果に出ます。

条件が悪くなればなるほど、その人の真の実力が出ると思いますので、この時期はその人の本当の力を見るいいチャンスかもしれません。

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