温故知新9

同じ目線にたてるかどうか

「クラブを持たなくても、立派に人と付き合えるプロになれ」  宮本留吉

宮本留吉プロは1902年生まれで、戦前から戦後にかけて活躍した、日本のプロゴルフの草分け的存在です。

昔、アメリカに遠征したとき、練習ラウンドか何かで、球聖ボビー・ジョーンズとプレーすることになり、5ドルを賭けてゲームが始まり、結果は宮本プロがジョーンズに勝ちました。

それで、宮本プロはジョーンズが差し出した5ドル紙幣に、ジョーンズのサインを書いてもらうよう頼み、その紙幣をそのまま日本に持って帰り、額に入れて飾って家宝にしたそうです。

それからかなりの年月が経った後、ジョーンズがその話しを聞いたとき、「額に入れて飾るなら、キャッシュではなく小切手にしたほうがよかったな」と冗談を言ったそうです。

「立派に人と付き合う」ためには、一般に人が持ち合わせている常識や礼儀を持ち、同じ目線で接することが不可欠でしょう。

「俺はお前たちよりゴルフが上手いんだ」とか「沢山賞金を稼いで、いい車を持っているんだ」という気持ちが強いと、それが態度に表れて、「立派に人と付き合う」ことは難しくなります。

「ギャラリーの期待にこたえる」ということは、ギャラリーと同じ目線を持っていないと、それは出来ないと私は思っています。

今のプロゴルファーの中で、ギャラリーと同じ目線を持っているプロの1人が、石川遼君ではないでしょうか。

彼の発言の中には、ギャラリーを気遣う言葉が多くみられます。

彼がテレビに登場すると、多くの人が彼のプレーに注目すると思います。

相当な飛距離や、思い切ったプレー振りなど、見ていて面白いのですが、彼が人を惹きつけるのは、ギャラリーの存在を意識してゴルフをしているからだと感じます。

プロですから、勝ちにこだわるのは当然ですが、何故人気のあるプロと、沢山勝っているにもかかわらず、あまり人気のないプロがいるのかといえば、やはりどれだけギャラリーを意識しているか、その差なのかという気がします。

「上野の413球」で有名になった、女子ソフトボールの上野投手の言葉で、「自分のために投げない、他の人のために投げるのだ」、この気持ちで試合に臨むから、チームは完全に1つになり、金メダルが取れたと思います。

話は少しそれましたが、周りのことを考えることが、凄く重要ではないでしょうか。

温故知新バックナンバー記事

タイトルとURLをコピーしました