温故知新4

ゴルフ理論(考え方編)

今回はジャック・ニクラウスの言葉を紹介します。

殆どの人は、彼の名前を知っていると思いますが、メジャータイトル通算で18回獲っている最高のゴルファーでしょう。

しかし、彼の功績はタイトルの数だけではなく、写真にあるソフトスパイクは、彼の提唱により実現されました。

以前の金属のスパイクでは、早い時間でプレーする人と、遅い時間でスタートした人では、グリーンの状態に随分と差がありました。

金属のスパイクが、グリーンの表面に小さな穴を開け、時間がたてば立つほどグリーンのコンディションは、最初に比べれば悪くなってきます。

ジャック・ニクラウスは、競技を出来る限り公平に行うためにグリーンを傷つけにくいスパイクの使用を長い間提唱していました。

彼は、自分のプレーだけでなく、ゴルフ界全体の発展のために、色々発言をして、そして行動をしてきた素晴らしい人物です。

「ゴルフに関するすべてのことは、ナチュラルでなければならない。」   ジャック・ニクラウス 

「ゴルフに関するすべて、、、」は範囲が広いですので、ここではスウィングだけに焦点を合わせて考えてみたいと思います。

「ナチュラル」ということは、人為的に何かを行ってはいけないということなのでしょう。

テークバックを30cmだけまっすぐ引け、とか、トップオブスウィングでは右手が出前持ちのような格好になれとか、そういうものを意識的に作ってはいけないんだよ、とニクラウスは言っているのだと私は解釈しています。

女子プロの横峰さくら選手や、アメリカのジョン・デーリー選手は、トップオブスウィイングで大きく右脇が開きますが、彼らに出前持ちをさせたら、間違いなくお盆の上に乗っているラーメンや丼はこぼれてしまうでしょう。

彼らはプロゴルファーとして成功しているのですから、トップオブスウィングで右ひじの格好が「出前持ち」でなければならないとは、必ずしも正しいとは言えません。

私の2年に及ぶ大スランプで気づいたことの1つに、クラブを通してボールに力をかけるのと、クラブを速く振るのはまったく別の動作であるということです。

クラブを速く振るのも、クラブを使ってボールに力を加えるのも同じではないか、と感じられる人も多いと思いますが、これは全然違うのです。

よく引き合いに出しますが、腕相撲を考えて見ましょう。

腕相撲をする場合、腕を早く動かして相手を負かそうとするのか、それとも腕を固定して、自分の全体重を相手に加えようとするのか、議論するまでもなく後者です。

これが「ナチュラル」な動きです。

ゴルフスウィングも全く同様で、ボールに力を加えようとする動きが、ボールに最大限のエネルギーを加えられるの最高の方法だと思います。

クラブを速く振ろうとすると、殆どの場合クラブを持っている腕を速く振ろうとします。

「腕を振る」という動作を考えてみると、腕自体の重さ(質量)は大きくなく、腕を思いっきり振ってもあまり大きなパワーは発揮できません。

また、腕を強く振ると顔が動きやすく、目線がぶれるので芯で打つことが難しくなり、ミスショットの確率が大きくなります。

反対に、「ボールに力を加える」という動作では、インパクトまで目はボールを見ているはずです。

金槌で釘を打つとき、当たる瞬間に釘から目をそらす人はいないでしょう。

「ボールに力を加える」という動作を徹底すれば、「ヘッドアップをするな」というアドバイスは不要となります。

また、インパクトでボールに集中する、そのためにボールをしっかり目で捉えるために、上半身を「静かに」使おうとします。

この「静かに」という動きが、下半身をより積極的に使って、大きなパワーをボールに伝えてくれるのです。

こういう説明をすると、難しいことを言っているようですが、生まれて初めてクラブを振る人は、多くの場合今言ったような動きをします。

やや伸び上がりながらゆっくりバックスウィングをとり、体全体でスウィングしようとしています。

これがジャック・ニクラウスの言っている「ナチュラル」な動きではないでしょうか。

「ナチュラル」な動きとは、クラブを速く振ろうとする動きではなく、「ボール」に力を加えようとする動きだと私は思います。

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