打感

 今、弊社が扱っているパターで、アマチュアリズムはすべて削り出しです。写真の一番左は、ステンレスの削り出しで、後の2本は軟鉄の削り出しです。ステンレスは、ノーメッキですが、軟鉄の方はメッキが施してあります。当然鉄ですから、錆が出てきますので、見た目が良くありません。メッキがない方が、打感が良くなるであろうという事で、ステンレスの削り出しを作りました。自分も、今までステンレスの削り出しを使ったことがなかったので、多少憧れのようなものがありました。

 ステンレスの削り出しと、メッキがしてある軟鉄の削り出しを、同じボール(例えばスリクソンのZ-Star)で何度も打ってみましたが、結論から言うと,殆ど差を感じることはありませんでした。どうしても先入観があるので、その先入観に自分の感覚が支配されているようです。ノーメッキのステンレスのほうが、柔らかいのでは、と自分に言い聞かせている感じがします。これでは、打感のテストにならないのですが、そこまでシビアにテストする必要もない気がします。

 なぜかというと、この削り出しのパターと、鋳造のステンレスのパターでは明らかに打感が違うので、削り出しのほうが心地よい響きがあると感じれば十分のような気がします。打感の違いを数値化する必要もないし、数値化しても実際のプレーにおいて、何かプラスのメリットがあると思いません。気温などの気候の変化や、体調の変化によって「人の感じ方」は微妙に変わるからです。自分が今手に入る道具で、一番敏感な打感を感じられる道具を使っている、その満足または安心で十分でしょう。

 プロ、アマを問わず、打感は非常に大事な情報で、ロングショット以上にパッティングでは自分の「ずれ」、つまり打ち方の「まずさ」にいち早く気づかせてくれる、有難いお告げのようなものと言えます。飛んで行った、または転がっていったボールで、ショットの出来、不出来を判断すると、「ずれ」がかなりひどくなってからでないと、気づかないことが多々あると思います。

 ゴルフに限らず、すべてのスポーツは感覚を磨かないと、思うようなプレーは出来ないと考えます。実際の競技スポーツで要求されることとして、瞬間の判断、力の微妙な強弱など、頭で考えていては対応できない事が沢山あります。ゴルフ、野球、テニスなど、道具を使う球技はたくさんありますが、道具から伝わる感覚は非常に大事で、全力でボールを打つだけでなく、コートの隅ぎりぎりを狙うなど、力の強弱そして力の方向を最適にコントロールしなければなりません。

 パターのフェースに樹脂がはめ込まれているものが多く見られますが、削り出しの物に比べると、多少柔らかい感じがします。ただ、その打感に慣れれば、それはそれで全く問題ありません。ゴルファーには、柔らかい打感を好む人もいるでしょう。私が削り出しのパターを販売しているのは、一番敏感に打感を感じることができる素材として、皆様にお奨めしています。

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