上手くなる技術、上手くならない技術

ゴルフ理論(考え方編)

アマもプロも、少しでも上手くなりたい、すなわちスコアを良くしたいと思い、その方法を考えて、日々練習しています。

レッスンを仕事にしている人たちは、より多くの人たちがレッスンに来てもらえるように、本やDVDを出したり、「上手くなる秘訣」なるものを発表したりします。

また、ゴルフメーカーも、練習に役に立ちそうな器具を開発して、売りに出しています。

ケーブルテレビなどのゴルフチャンネルを見ていると、トーナメントのラウンド後の練習風景を映したりしていますが、練習器具などを利用している選手を時々見かけます。

グリーン上にボードのような物を置いて、パッティング練習をする人、両脇のしたにスティックのような物を挟んで、ストロークを安定させる目的(?)で練習を繰り返す人など、皆さん工夫をしながら練習しています。

気になる練習をしている選手の、その後のプレー振り(スコア)を見ていると、色んな発見が出来ます。

スポーツの動きは、殆どが「複雑系」で「単純系」ではありません。

「単純系」とは、ショートアプローチで、ヘッドを膝の高さまで上げれば30ヤード、腰の高さまで上げれば50ヤード飛びます、という原因と結果が完全に結びついていものです。

バックスイングの大きさで、飛んでいく飛距離は決定できません。

プロの試合で、80cmと2mのパッティングを見ていると、バックスイングの大きさに、大きな差を見るとこはありません。

写真は、ハンマー投げの室伏重信さんが書かれたもので、室伏さんが技術を身につけて過程が、非常に興味深く、大いに参考なりました。

室伏さんは、19才で大学に入学し、その時のハンマーの記録は59mで、21歳の時までに、その記録を64mまで伸ばしました。

本にも書かれているように「順風満帆」で競技を続けていたのですが、そこから3年近く全く距離が伸びなくなったのです。

その間には、上半身の強さを表すベンチプレス、体幹、下半身の強さを表すスクワット、短距離選手に負けないダッシュ力など、体力面ではかなり向上しているにもかかわらず、ハンマーは遠くに飛んでくれないのです。

ハンマー投げを始めて7年、初めて「技術」つまり「投げ方」を研究するようになったのです。

自分のフォームだけでなく、一流選手の投げ方を徹底的に見始めたのです。

ただ、今のように映像を加工することは出来ませんでしたので、例えば映像の中の選手の膝の動きだけをフォーカスして見たい場合、2冊の本をほんの少しだけ隙間を空けて持って、その隙間に膝だけが見えるように、それを何時間も、そして何ヶ月も繰り返したそうです。

その間は、一切ハンマーは投げないで、映像見ながら何か感じることがあるときは、畳の上でその動きを行ってみる、そして何ヶ月も経過したあと、はじめてハンマーを投げたそうです。

その時は、思ったよりよい記録が出たそうですが、以前と違うのは、力任せに投げていたのではなく、スムースな動きで、非常に安定したフォームで投げていたのが実感できたそうです。

この本を読んでいて、しばしば出てくる「閃き」という言葉があります。

何度もあった「閃き」によって、投げ方がドンドンよくなっていき、室伏さんが自己記録をマークしたのが39才という、体力面で明らかに下降局面で記録が出せたのは、傑出した「技術」にほかなりません。

この「閃き」という言葉は、まさに感覚から生まれる言葉で、「閃き」を具体的な言葉で表すことは出来ないと思います。

何かの「閃き」がある時にこそ、技術を習得出来ると私は考えます。

練習器具などを使った練習から、「閃き」が生まれる可能性は低いように感じます。

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